« 弄び禁止 | Main | 風の日 »

May 08, 2007

近代文学館にて

朝からの雨。
窓をあけて振り続ける雨音を聞いていたかったけれど
ひさしのない部屋では、部屋の中がびしゃびしゃになってしまう。

なんだか勿体無いなとゆっくり珈琲を飲めばあっという間にお昼過ぎ。

今日は高橋睦郎さんの講演会を聞きに行く。

場所は神奈川近代文学館。
なんと「港の見える丘公園」にあります〜といっても知っているのは名ばかりで
実際に訪れるのは今回がはじめて。

みなとみらいの駅を出てすぐに公園入口。
緑がたっぷりで公園のある丘からこぼれそう。
木の半螺旋階段を登ると正面になにやら建物の遺構。

F1

(領事館跡)

備え付けの案内版によると「フランス領事館跡」だそうで、生麦事件後自国の国民を守るため仏軍も一時駐屯していた場所らしい。建物は大震災の折、崩れたそうなのだが一階の一部分が残っていたのを保存しているそうだ。これまで国内で、こういう保存の方法をあまり見たことがないので、横浜市の余裕というものを感じます。
当時の井戸や、水の汲み上げの為の風車(こちらは復元)などが、木々の邪魔にならないよう残されていました。

F2
(復元風車)

デートスポットにしては品のよい公園。余談ですが、「ブラックジャック」先生が昔の想い人「如月先生」と待ち合わせたのもここだったような。記憶違いでしたらすみません。

緑を抜けると今度は開けた場所へ。

Minatop

(緑のアーチ)

生憎の雨なのでベイブリッジもぼんやりとしか見えませんが、それはそれできれいな眺め。正面には噴水とうるさすぎない花壇。その向こうにはマグリッドの絵に出てきそうな大佛次郎記念館。

Osaragim

横手にも良い感じの建物をみつけ立ち寄るとこれは「英国領事館」だった建物。周囲にはバラ園があって既に六、七割の品種が咲いています。バラ園、英国式建築、ベイブリッジ・・・今日が雨でよかったとおもいます。
これはデートスポットですね。晴れた日の休日はこりゃ大変でしょう。

EgrEgMinatopb2

(英国領事館跡やら庭やら・・・そしてうっすらとベイブリッジ)


さて、馬鹿話はそのくらいにして、大佛次郎記念館裏の橋を渡り、これまた沢山の緑に包み込まれた近代文学館へ。只今の企画展示は「中原中也と富永太郎展」。

Minatokusu
(この裏に文学館)

講演まで少し時間があったので常設と企画展をのぞいていると、おや。隣で熱心に展示を見ているのは・・・本日の講師「高橋睦郎」さんその人。お邪魔だろうけれど少しばかり縁があるので挨拶だけしておきました。

講演中は一番前、演題正面に座ってみたものの、眠くなったりしたらどうしようと少々弱気。しかし始まってしまえば全くの杞憂で、耳に心地よい声と興味深い話であっという間に時間は過ぎてしまいます。

今日、強く心に残ったのは、「詩人」とは一体どういうものか?という話。

詩には2種類あって、ひとつは「真の詩」たるもの。もうひとつは「仮の詩」。前者は実在としての詩であって、後者は作品としてのもの。詩人というものはこの前者である「真の詩」を捕まえようとして、出来るだけそれに近いものをつくり出す。これが後者の「仮の詩」となる。なぜなら、言葉には限界があって「そのもの」を完全に捕まえることは不可能だからだ。常にそれを求め続ける人が詩人であり、詩とは言葉による不完全な「そのもの」〜その不完全なものを集めたゴミ箱が詩集である。

そんなふうに語っていました。

肝心の中原中也に関しては、「彼の詩は意味ありげな書き方をしているけれど、実は何もいっていない。まるで、雪を握ったあと、てのひらを開くと溶けて何も残らず、ただ冷たさのみが残るようで、それが彼の詩が今また注目されている理由ではないか」と語っていました。また、「真の詩を得るために彼はあえて孤独な状態に自らを置くことを無意識に行っていたのではないか」と推察。「今はそんな人が生き難いですね」とも。

確かに、誰某構わず喧嘩をふっかけ反対に殴られたり、縁を切られたりといった話はあちらこちらで見つけることが出来ます。展示室にあった友人にあてた手紙も見ましたが、確かに思うことを書いていて、中には手紙を受け取った某作家が怒って破り捨て、途中までしか残っていないものもありました。

孤独を怖れず信じることへ真直ぐ歩く。

周りは迷惑すると知っていて、本当は申し訳なく思っているのだろうけれど、それでもあえて真直ぐ歩く。なかなか出来ることではありません。中也は覚悟していたのでしょう。
Minatopgb

また改めて彼の詩を読み返してみることにしましょうか。

激しくなった雨の中、緑の中をあるきながらそんなことを考えつつ会場を後にしました。


しかし、ゆっくり本を読む環境づくりが先ですね。掃除!洗濯!荷物片付け!


そうそう。高橋睦郎さんはいくつかの中也の詩を朗読して下さったのですが、これがとてもよかったのです。文章にできるものでもないので、機会があれば是非いちど聞きに行かれることをお勧めします。

※はみだし言い訳:
ところで、今回写真が暗いので修正してみたのですが、作業後の物が「表示不可」と出てしまい、結局もとのままのペーストです。こういうのも少し勉強しなければと実感。


|

« 弄び禁止 | Main | 風の日 »

Comments

「中原中也」記念館に行ったときのことを、ふと思い出しました。
詩についてはとても興味深いですね。
言葉を扱うというのはとてもデリケートなもので、
ブログや携帯メールが日常になりつつある今は、
万人作家気分の時代。
でも実のところ、言葉1つ1つを厳選して、精査して、
美しくととのえて、かつ思いを落とし込んだものというのは
とても少ない。
そういうものに感覚を研ぎ澄ましていける自分でありたいものですね。


写真、私は好きですよ。
深い色も、暗い景色も、色、です。
明るく鮮やかなものばかりじゃないからこそ、
ムードがありますよね。

Posted by: 北のnao | May 11, 2007 10:28 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 弄び禁止 | Main | 風の日 »